愛知県名古屋市天白区の鍼灸院、大根治療院です。
今回は、不妊症で当院に通われていた患者様の鍼灸治療症例をまとめさせていただきます。
通院を悩まれている方の参考になれば幸いです。
1.これまでの経緯
産婦人科で一通りの検査をされたが、機能障害などの異常は無し。
タイミング療法・体外受精・ホルモン療法などを産婦人科でうけてみえました。
不妊治療と鍼灸治療を併用を友人にすすめられ、来院されました。
2.鍼灸院としての診断と治療方針
患者様の脈とお腹の状態を拝見したところ、からだの冷えが強く、妊孕力(にんようりょく、女性が子供を妊娠し、健康的に出産することができる能力)が落ちてみえました。
東洋医学的に診た体の状態が「肝」(一番妊娠しやすい状態)ではなかったため、この状態に近づけていくように鍼で調整を行っていくことにいたしました。
治療のポイント
①妊娠を促すツボへ知熱灸を行いました
妊娠を促すツボは妊娠21穴と言われており、およそ21か所のツボに1か所ずつ丁寧にお灸を施します。
※知熱灸とは、小指の先くらいの大きさのもぐさ(よもぎを乾燥させたもの)をツボに直接乗せて、じんわりと温かみが感じられるくらい加熱を行うお灸の種類です。ツボに痕が残ったり、熱さを感じるものではありませんのでご安心ください。
②体質を「肝」に近づけるための体質改善の鍼を行いました
この患者様は、五臓六腑の状態が「腎」だったため、妊娠しやすい体質である「肝」の状態に近づくように鍼灸治療で調整を行いました。
3.治療の経過と結果
定期的に通院していただき、通院14回(約3ヶ月ほど)で、お体の体質が「肝」に変化されました。
また、ご自宅で行っていただくセルフケアとして「ドライヤー灸」(ドライヤーの熱でお灸と同じ効果が得られるもの)をお伝えし、実践していただきました。
徐々に体の冷えも取れていき、妊娠しやすい体に近づいていきました。
その後も定期的に鍼灸治療を重ね、10か月ほどで妊娠され、治療を終了しました。
4.当院の不妊症に対する鍼灸治療
鍼灸治療により治療効果が期待できるのは原因がないのに妊娠しない「機能性不妊」です。
この機能性不妊の原因として考えられているのは、生活環境やストレスによるものです。
気持ちが満たされない不満などで、身体の気血の循りを悪くすることが骨盤循環のうっ滞や生殖機能の低下につながります。
加えて、病院への通院、治療が繰り返されることでの生活環境の乱れにより不妊悪循環をおこしてしまい、精神的ストレスを取り除けなくなってしまう、いわゆる生活習慣病も原因のひとつです。
また、不妊の方は生活習慣の乱れから子宮が冷えてしまっている方が多いです。
その結果全身の血液循環の悪化、自律神経の乱れによるホルモンのアンバランスなどが起こり、機能性不妊になると考えられています。
鍼灸治療が機能性不妊に対して効果が期待できるのは鍼灸治療により生活習慣病の改善ができるという背景があるからです。
鍼灸治療により、血流の改善、自律神経の安定を図ることで生活習慣病でもある機能性不妊にアプローチしてゆきます。
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